第34章:植物人と結婚して、寂しさに耐えられなくなった!

時田秋染はこの光景を見て、胸が痛んだ。

もし、彼女のせいでなければ、浅子はこんな植物人間と結婚することもなかっただろう。

宮本凪のような男の子が彼女を癒し、愛してくれることもあっただろう。

この世には林聡明のような男だけではないのだから。

「おばさん、浅子に話したいことがあるんです。少しの間、彼女を連れ出してもいいですか?」宮本凪は時田秋染に尋ねた。

「ええ、もちろんよ」時田秋染はうなずいた。

宮本凪は時田浅子の手を引いて外へ向かった。

彼は特別な場所には行かず、病院の近くにあるカフェを見つけた。

「浅子、ごめん、全部僕が悪かった。こんなに長い間君を見失って、君がそんなに辛い思いをしていたなんて知らなかった。それに、君がこの何年間をどうやって耐えてきたのかも分からなかった!ごめん」宮本凪は時田浅子の手を握り、目には心痛が満ちていた。

時田浅子は手を引っ込めた。

なぜか、心に違和感があった。

彼女はこのような親密な接触に慣れていなかった。

彼女と宮本凪はもう大人になっていて、子供の頃とは違うのだ。

「凪くん、海外ではどう?彼女はいるの?」時田浅子は話題を変えようと、軽い調子で尋ねた。

「ずっと彼女がいるじゃないか?」宮本凪は笑いながら問い返した。

時田浅子は少し驚いて、「誰?」と聞いた。

宮本凪は口を開きかけたが、「君だよ!」という言葉は喉元で止まり、口に出せなかった。

彼女は分からないふりをして、わざと避けているのだ。

きっと彼女が結婚したからだろう。

「浅子、おばさんの病状について調べたんだ。彼女の状態は手術しかないんだけど、僕がおばさんを海外に連れて行って治療することができる。君があの植物人間と結婚したのも、おばさんの治療費を工面するためだってことは分かってる。おばさんのことは心配しなくていい、君はすぐにあの植物人間と離婚できるよ」

隣のテーブルには、白髪の老人が座っていた。

この言葉を聞いて、眉をしかめた。

「どうやって植物人間と離婚するの?私が言っても、彼には聞こえないでしょ」時田浅子は笑いながら反論した。

そして、この話題をごまかそうとした。

彼女はメニューを取り、宮本凪の前に置いた。「凪くん、ここは洋食もあるわ。私がご馳走するから、何か注文して」