時田秋染はこの光景を見て、胸が痛んだ。
もし、彼女のせいでなければ、浅子はこんな植物人間と結婚することもなかっただろう。
宮本凪のような男の子が彼女を癒し、愛してくれることもあっただろう。
この世には林聡明のような男だけではないのだから。
「おばさん、浅子に話したいことがあるんです。少しの間、彼女を連れ出してもいいですか?」宮本凪は時田秋染に尋ねた。
「ええ、もちろんよ」時田秋染はうなずいた。
宮本凪は時田浅子の手を引いて外へ向かった。
彼は特別な場所には行かず、病院の近くにあるカフェを見つけた。
「浅子、ごめん、全部僕が悪かった。こんなに長い間君を見失って、君がそんなに辛い思いをしていたなんて知らなかった。それに、君がこの何年間をどうやって耐えてきたのかも分からなかった!ごめん」宮本凪は時田浅子の手を握り、目には心痛が満ちていた。