「ごゆっくりどうぞ、お邪魔はしません」家政婦はそう言って、退出した。
時田秋染も近づいてきて、このチキンスープを見た。
「藤原家の方々は本当に気が利くわね、チキンスープまで煮込んで持ってきてくれるなんて」
しかし、それでも変わらない事実がある。彼女の浅子は植物人間と結婚したということを。
時田浅子はすでにスプーンを取り、大きな椀一杯を時田秋染に注いでいた。
「お母さん、早く飲んでみて。このスープ、見るからに美味しそう!最近はずっと病院食か出前ばかりで、栄養のないものばかり食べてるでしょ。スープを飲んで体力をつけないと」
時田秋染はスープを受け取り、一口飲んだ。
「うん、本当に美味しい!浅子、あなたも飲みなさい」
「はーい!」時田浅子も一杯注いで、母親と一緒に飲んだ。