以前、藤原親父が藤原若旦那を見舞いに来た時は、いつも若旦那のベッドの横に座り、何時間も過ごしていたものだった。
今回は、ちらっと見に来ただけで、何となく形だけのように感じられた。
15分も経たないうちに、安藤さんが部屋の準備ができたと報告に来た。
「浅子、もう遅いから、ゆっくり休みなさい」藤原親父はすぐに時田浅子に言った。
「はい、お爺さま、お爺さまもお早めにお休みください」時田浅子は立ち上がって部屋を出た。
部屋はようやく静けさを取り戻した。
江川楓と白川健斗だけが藤原時央に付き添っていた。
「若旦那、今日の出来事は本当に危険でした。もし私がもう少し遅れていたら、あの車が走り去っていたら、考えたくもない結果になっていたでしょう!」江川楓は思わず口を開いた。
「若奥様は頭を打って血を流していました!普通の女の子なら絶対に怖がっていたでしょうが、彼女は自分で不良を捕まえたんです。」