山本おばさんが朝食を運んできた。
時田浅子は、藤原時央の前の魚のスープが自分たちのものと違うことに気づいた。上に緑のネギが乗っておらず、他の具材も入っていない、真っ白なものだった。
こんな風に食べて、美味しいのだろうか?
山本おばさんは時田浅子の疑問を察して、笑いながら答えた。「若奥様、藤原若旦那はネギや生姜、にんにくなどの薬味がお嫌いなので、彼の食事はすべて別に調理しています。」
山本おばさんは時田浅子に藤原時央の好みをもっと知ってほしいと思っていた。
「なるほど、そうだったんですね。」時田浅子はうなずいた。
「彼はネギや生姜、にんにくだけじゃなく、嫌いな食べ物がたくさんあるんだよ。」老人はすぐに暴露した。
「おじいさま、世の中にはたくさんの食べ物があって、すべてが好きというわけではありませんよね。私も苦手なものがたくさんあります。例えば花椒とか。」時田浅子は雰囲気を和らげようとした。
藤原時央は彼女を一瞥した。
この女は本当に作り笑いをしていると思った!
「とにかく、彼は他の人よりも少し好き嫌いが激しいだけだ!浅子、これからは時央を頼むよ、しっかりと躾けてやってくれ。」
時田浅子:……
藤原時央は数口で魚のスープを平らげると、車椅子を動かして立ち去った。
時田浅子がいる場所には、一分一秒も長居したくなかった。
「見ろよ、この意地悪な性格、誰に似たんだか。」老人は思わず愚痴をこぼした。
時田浅子は何も言えなかった。
なぜなら、彼女はその性格がおじいさまにそっくりだと思ったからだ。
これからは、軽々しく発言しないようにしよう。おじいさまを諭すどころか、火に油を注いでしまった。
道理から言えば、藤原時央が目覚めたばかりなのだから、おじいさまはもっと親密に接するべきではないのか?
これは実の孫なのに!
「おじいさま、後でもう一度外出しなければなりません。斉藤愛梨がすでに罪を認めたので、署名しに行きます。」
「おじいさまも一緒に行くよ。」
「はい。」時田浅子はうなずいた。
時田浅子が署名を終えて出てくると、老人は車の中で待っていた。
「浅子、終わったかい?」
「はい。」時田浅子はうなずいた。
「まだ時間が早いから、おじいさまと少し散歩しないか?」