第56章:クズ男を殴る

「浅子はどうなの?もし浅子に何かあったら、絶対に許さないわよ!林聡明、あなたは本当に人でなしね!」

時田秋染は手を上げて林聡明に向かって振り下ろした!

「パン!」と鮮やかな平手打ちの音が響いた。

林聡明がまだ反応する前に、顔に一発の平手打ちを食らった!

時田秋染が再び手を振り下ろそうとしたが、手首を林聡明に掴まれた。

「お前は狂った女だ!」林聡明は時田秋染を押しのけた。

時田秋染は彼に押されて床に倒れた。

病室の騒ぎに外の看護師が気づき、急いで駆けつけてきた。

二人の看護師が林聡明を引き止め、菊が時田秋染を助け起こした。

「時田秋染、言ってみろ、この件をどう解決したいんだ?あの男はお前にいくら払ったんだ?こんな良い病室に入れて、手術までさせて、他にどんな約束をしたんだ?そのお金なら俺も出せる!何か条件があるなら言ってみろ。」

「今すぐ電話して時田浅子に告訴を取り下げさせろ。事が大きくなっても、お前に何の得があるんだ?お前のその死にかけの姿で、彼女を一生面倒見られるのか?時田浅子は俺の娘だ、俺がいれば、彼女には頼れるものがある。」

時田秋染は怒りで胸が激しく上下していた。

「林聡明!よくも浅子があなたの娘だなんて言えるわね?もし本当に彼女をあなたの娘だと思っているなら、斉藤愛梨に火の中に突き落とされるのを見過ごせるの?植物人間と結婚させようとするの?恥知らずね、よくも自分が浅子の頼りだなんて言えるわ!」

林聡明は言葉に詰まった。

「結婚の件は彼女から何も聞いていない、彼女が一方的に決めたことだ!お前に唆されて、俺と穏やかに一言も話そうとしない、お前が望んでいたのはこういう結果じゃないのか?」

「出て行きなさい!出ていきなさい!」時田秋染は出口を指さした。

林聡明が口を開こうとした瞬間、突然肩に重みを感じ、誰かに押さえられた。

振り向くと、身長190センチほどの男が彼の横に立っていて、シャツ一枚越しでもその男の全身に膨れ上がった筋肉を感じることができた。

「ここでは林さんは歓迎されていません。どうぞお帰りください。」江川楓がゆっくりと口を開いた。

林聡明はいらだたしげに振り払おうとした。

江川楓の手を振り払うどころか、逆に力が強まった。

彼の肩に痛みが走り、骨が砕けそうだった!