時田浅子は風呂を済ませ、ベッドの端に座っていた。
彼女は藤原時央を探すべきかどうか考えていた。
藤原奥様とお爺さまがどんな態度であろうと、結婚は結局、彼女と藤原時央二人の問題だった。
彼女が服を着替えようとしたとき、突然携帯が鳴った。
着信表示は林聡明の番号だった。
この時点で、林聡明と斉藤愛梨はきっと既に調査されているはずだ。彼がこの電話をかけてきて、何を言いたいのだろう?
事実はすべて明らかになっているのに、彼はまだ斉藤愛梨を信じているのだろうか?
時田浅子は電話に出た。
「お姉さん……」電話の向こうから林清子の声が聞こえ、二言目には早くも嗚咽が始まった。
「何の用で電話してきたの?」時田浅子はいらだちながら尋ねた。
「お姉さん、お父さんが突然倒れて、今病院にいるの。来てあげられない?」