室内の空気はまるで凝固したようだった。
藤原時央は時田浅子を見つめていた。
時田浅子も彼を見つめ返していた。
二人はそのままにらみ合っていた。
突然、外からノックの音が聞こえた。
「浅子、寝たかい?」老人の声が聞こえてきた。
「まだ寝てないわ」時田浅子は答えた。
「今日買ったものが全部届いたんだが、出てきて見てくれないか。ここには置ききれないから、安藤さんに一部を臨海別荘に運ばせようと思ってる」
「今行くわ、おじいちゃん!」時田浅子は藤原時央の方へ向かった。
彼の意見を聞くこともなく、車椅子を引っ張り、くるりと回して玄関の方向へ進んだ!
彼女の動きは大きく、特にさっきの回転で、藤原時央はめまいを感じた。
彼はすぐに手すりをしっかりと握り、体を安定させた。
老人はソファに座り、リビングにはすでに今日の戦利品が山積みになっていた。
安藤さんはまだ荷物を運び込んでいた。
時田浅子はリビング全体に積み上げられたものを見て、藤原時央をさらに前に押し、彼を物の山の真ん中に置いた。
藤原時央は密かに両手を握りしめた。
この女、なんて傲慢なんだ!
「藤原若旦那、これは全部私が今日買ったものよ」時田浅子は手近な袋を開け、中からドレスを取り出した。
タグを見て、自分の体に当ててみた。
「このドレス、3万円以上するのよ!」
それを見せた後、また別の袋を開けた。
またドレスだった。
重要なのは、この二つのドレスは色が違うだけで、デザインがとても似ていることだった。
「これも3万円以上よ、同じシリーズの赤と緑、全部買ったわ!」時田浅子は自慢げに言った。
まるで鬱憤を晴らすかのような感じさえあった!
これらのものが届いた今、彼女は説明する必要がなかった!
藤原時央が自分で見ればいい。
彼女が彼の言った通りにしたかどうかを!
「デザインは違うよ」老人が口を挟んだ。「それに赤いのは可愛らしく、緑のはさわやか。浅子が着ると、まったく違った雰囲気になる」
藤原時央は老人を見た。
「何を見てるんだ?お前のカードで買ったわけじゃないぞ!」老人は冷たく言い返した。
藤原時央は言葉に詰まった。
なるほど、そういうことか!
これらのものは全て、老人が自分のカードで買ったのだ!
老人は時田浅子を溺愛するような目で見ていた。