彼女の祖父は、ずっと藤原家のことを彼女に話したことがなかった。臨終の際になってようやく、この件について少し話した。
ただ、その時は誰もこのことを気にかけていなかった。
「浅子、お前の祖父は私のことを話さなかったのか?」
「祖父は臨終の際に、藤原という姓の、とても良い友人がいて、当時婚約を結んでいたと言っていました。もし藤原家の人が婚約を履行しに来たら、必ず藤原家に嫁ぐようにと言われました。」
「まだ良かった、あの老いぼれ、約束を覚えていて、裏切らなかったか!」老人は安堵のため息をついた。
「当時、どんなに引き留めても、お前の祖父は帝都に残ろうとしなかった!彼が権力者に取り入ると陰口を叩かれることを恐れていたのだと分かっている。彼は雲都という小さな場所に戻って、気ままに暮らすと言った。」