時田浅子は携帯を手に取り、さらに数枚後ろにめくった。
最後に、藤原時央の写真があった。彼はテーブルに座り、背後には夕日の夕焼けがあった。逆光で撮影されていたため、彼の顔ははっきりと見えなかったが、その体のシルエットは一目で見分けることができた。
彼の前のテーブルには、あの少女が手に持っていたひまわりの花が置かれていた。
明らかに、写真はあの少女が撮ったものだった。
時田浅子はそれ以上見ることなく、携帯を置いた。
藤原親父は時田浅子を一瞥し、少し心を痛めた。
「藤原時央、お前は一体何を考えているんだ」と藤原親父は重々しく尋ねた。
「時田浅子との婚姻関係を終わらせたいと思っています」
「やっぱりそうか、お前はまだ離婚したいのか!」藤原親父は胸が詰まる思いがした。
突然、数回咳き込み、呼吸が苦しそうになった。
藤原時央は気にしなかった。親父の体は丈夫だし、彼に見せるためにわざと演技しているだけだと思った。
「お爺さん、大丈夫ですか?」時田浅子は心配になり、すぐに立ち上がって藤原親父の胸をさすった。
「浅子……爺さんは……ゴホゴホ!」藤原親父はまた咳き込み、急いで目の前のタオルで口を覆った。
白いタオルはたちまち真っ赤に染まった!
「お爺さん!」
「お父さん!」
部屋の中の人々は、一瞬にして混乱に陥った!
時田浅子は藤原時央を見つめ、非難の表情を浮かべた。
これが彼の分別なのか!彼はいつも直球勝負なのか?
藤原時央は彼女の視線に気づき、胸が詰まる思いがした。
15分後。
救急車が到着した。
藤原時央は藤原親父が救急車に運ばれるのを見て、胸が締め付けられた!
彼は体が不自由で、病院に付き添うことができず、藤原親父が運ばれていくのを見ているしかなかった。
時田浅子は救急車の中で付き添っていた。
安藤さんは急いで車を出し、大木嵐と一緒に病院へ向かった。
大木嵐は安藤さんを待つ間、藤原時央に近づいた。
「あなたは知っているはずよ、なぜお爺さんがあんなに時田浅子を気に入っているのか。もし当時、時田浅子のお爺さんが命を懸けて救ってくれなかったら、あなたのお爺さんはこの世にいなかったでしょう」