「塩入れたの?」藤原時央はスプーンを置き、暗い顔で時田浅子を見つめた。
「少しだけ入れたわ。塩もダメなの?白粥は何の味もないから、ほんの少し味を調えようと思って」時田浅子は静かに説明した。
彼女は白粥に何の味もないことを知っているのか!
「君はいつも白粥にこうやって味付けするのか?」彼は低い声で尋ねた。
「いいえ、母が白粥は最も栄養がなくて、しかも胃に悪いと言っていたから、私は白粥を食べたことがないの」
藤原時央は言葉に詰まった。
彼は時田浅子を見つめた。今、彼を誘って一緒に食べようと言うべきではないのか?
彼女一人で、四品もおかずがあるのに!
全部食べきれるのか?
時田浅子は立ち上がり、彼の前にある茶碗を手に取った。「藤原若旦那、鍋にはまだ粥があります。何も入れていないので、新しく盛り直しますね」