第130章:あなたを見ると、食欲がない

「塩入れたの?」藤原時央はスプーンを置き、暗い顔で時田浅子を見つめた。

「少しだけ入れたわ。塩もダメなの?白粥は何の味もないから、ほんの少し味を調えようと思って」時田浅子は静かに説明した。

彼女は白粥に何の味もないことを知っているのか!

「君はいつも白粥にこうやって味付けするのか?」彼は低い声で尋ねた。

「いいえ、母が白粥は最も栄養がなくて、しかも胃に悪いと言っていたから、私は白粥を食べたことがないの」

藤原時央は言葉に詰まった。

彼は時田浅子を見つめた。今、彼を誘って一緒に食べようと言うべきではないのか?

彼女一人で、四品もおかずがあるのに!

全部食べきれるのか?

時田浅子は立ち上がり、彼の前にある茶碗を手に取った。「藤原若旦那、鍋にはまだ粥があります。何も入れていないので、新しく盛り直しますね」