藤原時央は振り向いて、時田浅子を見た。
彼のいらだった表情を見て、時田浅子は心の中の考えを完全に打ち消した。
彼女は何を考えていたのだろう!
まさか藤原時央の部屋で寝ようなんて思っていたなんて。
彼女は知っていた、藤原時央が今住んでいる部屋には小さなソファがあることを。一晩そこで過ごすこともできるだろうが、藤原時央が同意するだろうか?
「何か用?」藤原時央は彼女が黙っているのを見て、低い声で尋ねた。
「い、いいえ、何でもないわ」時田浅子は首を振った。
藤原時央は身を翻して去っていった。
時田浅子はソファに戻り、テレビを見続けた。
今夜は、リビングでなんとか一晩過ごすことにしよう。
夜が更け、気温が徐々に下がり、時田浅子は腕を抱えて寒さに耐えていた。彼女は眠ることができず、眠気もなかった。