第159章:クズ男の執着

緑色のパーカーを着た男が彼女たちの方向に歩いてきた。

彼の名前は藤田彰、和芸ではかなり有名だった。

彼も和芸の学生だが、卒業して二年以上経った今でも、よくキャンパスに出入りしていた。

彼は金持ちの二世で、家族の投資は映画やテレビ業界にも及び、和芸の多くの女子学生が彼に群がっていた。

彼は恋多き男だったが、彼の言葉によれば、彼が交際する恋愛は全て真剣なものだった。

誰と一緒にいても、その時最も愛しているのはその相手だと。

別れた後は、完全にシームレスに次の相手へと移行できた。

彼はクズ中のクズだったが、付き合った彼女たちには、お金でもリソースでも、彼が与えられるものは惜しみなく与えた。

そのため、多くの女子学生が積極的に彼を釣ろうとしていた。

藤田彰を釣り上げることは、成功への近道を見つけたも同然だった。

時田浅子は藤田彰が彼女の方に早足で歩いてくるのを見て、明らかに彼女を目指していることがわかった。

「水田潔子、私先に帰るね!」時田浅子は水田潔子に一声かけると、すぐに身を翻して校門の方へ歩き出した。

藤田彰は早足で追いかけ、数歩で時田浅子に追いついた。

彼はポケットから赤いバラを一輪取り出し、時田浅子の前に差し出した。

「今夜、君をある場所に連れて行きたい」藤田彰はまるで時田浅子が断らないと確信しているかのように、直接切り出した。

「ごめんなさい、今夜は予定があるの」

「時田浅子、人を焦らすゲームは数回までにしておけ。やりすぎると、興味を失わせることになるぞ」

藤田彰は数ヶ月前から時田浅子に目をつけていた。

彼は何度か明確に意思表示したが、時田浅子は彼の誘いに乗ろうとしなかった。

時田浅子は外に向かいながら、時間を確認した。

この時間なら、藤原時央も彼女を迎えに来ているはずだ!

「時田浅子、もうすぐ三年生だろう?君のクラスの山田奈々はもう有名になったのに、君は彼女よりずっと優れているのに、まだ頭角を現していない。その理由が何かわかるか?」

時田浅子は足を止め、藤田彰を見つめた。

「藤田彰、勘違いしないで。私はあなたを焦らしているわけでもないし、あなたと付き合いたいとも思っていない。もう私に構わないでください!もしまた私に付きまとうなら、ハラスメントで訴えますよ!」