【あなたたちは忘れていませんか?このスマホは時田浅子のものではないのです!おそらく、ネットいじめに加担していた一人かもしれません!】
【上の人が指摘してくれなければ、すっかり忘れていました!】
【私は自分をビンタしたいくらいだ!さっきまで熱狂的にギフトを送っていたなんて!】
【時田浅子のアカウントを教えてください。】
周りの人がまだ反応する前に、時田浅子は身を翻して前方へ歩き出した。
これで、もう誰も彼女を止める者はいなかった。
むしろ、彼女が言ったことに深く心を動かされていた。
時田浅子の後ろ姿を見ると、突然、この一見弱々しい少女の体から爆発する力強さと強靭さを感じた。
校門の外で、藤原時央は腕時計を見た。
今の時間は、彼が時田浅子と約束した時間を、すでに10分過ぎていた。
時田浅子はまだ出てきていなかった。
「彼女にメッセージを送って、なぜまだ出てこないのか聞いてくれ」藤原時央はすでに待ちくたびれていた。
毎日時田浅子のために費やす時間だけで2時間以上もあり、しかも彼は忙しい仕事の合間からそれだけの時間を捻出しなければならなかった。
江川楓がちょうどメッセージを送ろうとしたとき、時田浅子が校門から出てくるのが見えた。
「藤原若旦那、若奥様が出てきました」
時田浅子が校門に着くと、すぐに誰かに呼び止められた。
「時田浅子!」
彼女が振り返ると、白いTシャツを着た男子学生が立っていた。
男子学生は薄いブルーのジーンズを履き、白いスニーカーを履いて、黒いスポーツバッグを背負っていた。
腕にはバスケットボールを抱え、様子を見ると、バスケをしに行くところのようだった。
「先輩」時田浅子はすぐに声をかけた。
彼女を呼び止めたのは大学4年生の柳裕亮だった。
時田浅子が新入生として報告した時から知っている先輩で、二人の関係はそれほど親しくはないが、会えば挨拶を交わす程度だった。
柳裕亮は和芸大学の風雲児とも言える存在で、監督学科の学生であり、主に容姿が良いことで知られていた。
多くの人が彼を評して、こう言っていた:「顔だけで食べていけるのに、あえて才能で勝負している」
「先輩、何かご用ですか?」
柳裕亮はスマホを取り出し、WeChatのQRコードを開いた。
「私のWeChatを追加して」