あの日、彼女はいつでも彼氏ができると言っていた。つまり、その時点ではまだ関係を確認していなかったということだ。
それからわずか数日で?
こんなに早く進展するなんて?
もう「ダーリン」と呼ぶ仲になっているとは!
藤原時央は再び歩み寄り、ようやくベッドの端に到達した。
時田浅子はすぐに彼から手を離し、二人の距離を広げようとしたが、突然、藤原時央がベッドに倒れ込み、彼女も一緒に引きずり込まれた。
藤原時央はちょうど彼女の上に覆いかぶさる形になった。
突然間近に迫った端正な顔を見て、彼女は息を止めた。
藤原時央の視線は最初、彼女の目を見つめていたが、ゆっくりと彼女の鼻先へ、そして豊かな形の良い唇へと移っていった。
時田浅子は窒息しそうになり、深く息を吸い込んだ。
吸い込んだ空気は藤原時央の香りと混ざり合っていた。
かすかな黒檀の香り。
藤原時央はゆっくりと彼女に近づいていった。
彼の息遣いは穏やかで、そよ風のように彼女の頬を撫でた。彼女の毛穴も彼の呼吸に合わせて開いたり閉じたりしていた。
彼はどんどん近づいてきている?
時田浅子の心臓は飛び出しそうだった!
彼は一体何をしようとしているの?
藤原時央の唇が彼女の唇に触れようとした瞬間。
時田浅子はすぐに手を伸ばして彼の胸の前に置いた。
彼女の頭の中はすでに混乱していた!
藤原時央は今、彼女にキスしようとしたのだろうか?
「藤原若旦那、もう遅いので、シャワーを浴びてきます」
藤原時央は数秒間じっと彼女を見つめてから、横に身を転がした。
時田浅子は急いでその場から逃げ出した。
藤原時央はベッドに横たわり、天井を見つめていた。
自分は今何をしていたのだろう?
彼女にキスしようとしていた!狂おしいほどに!
彼は何度も深呼吸をして、自分の呼吸を整えようとした。
しばらくして、ようやく感情が落ち着いてきた。
時田浅子がシャワーを終えて出てくると、藤原時央は横向きになって彼女に背を向けていた。
眠っているのかどうかわからない。
彼女は静かに布団が敷かれている場所に歩み寄り、布団をめくって中に入ろうとした。
「さっき、おじいさんが床の布団に気づいていたぞ」藤原時央の声が突然響いた。
時田浅子は動きを止め、振り返って彼を見た。