第201章：斉藤若春の出撃

白沢奥様も彼女の視線の先を見つめた。「藤原奥様、あの人たちは気にしないで。もし彼女たちが、あなたが名高い藤原奥様だと知ったら、きっとすぐに群がってくるわ。面倒なことになるわよ」

大木嵐はその場を離れず、一人の若い女の子に視線を固定した。

斉藤若春？彼女がなぜここに？

「芸能界のあの女たちが争い合うのは、結局何のため？名声と利益でしょ！純粋な人なんて一人もいないわ。純粋さも演技、男を騙すためのものよ！」

「この時田浅子という子は、藤田彰でさえ眼中にないなんて、きっと大物を狙ってるのよ！」

「あなたたち、自分の家の男はしっかり見張っておいた方がいいわよ！」

「あんな顔で、どの男が我慢できるっていうの！釣られない男はいないわ」

これらの富裕層の奥様たちは、様々なタイプの女性と争っていた。

彼女たちは派手な女性は恐れないが、骨の髄まで清純な雰囲気を漂わせる少女こそ恐ろしいと思っていた。

たった一つの話題で、これらのセレブ妻たちは時田浅子を仮想敵にしてしまった。

斉藤若春は静かに傍らに座り、これらの人々の議論を聞いていた。

これらすべては、彼女が操っていたことだった。

彼女は信じていなかった、藤原家の人々が本当に面子を気にしないとは。

「藤田奥様、この子をあなたの会社に契約させて、そのまま干してしまえばいいんじゃない？数年経って、色褪せたら、また解放すればいいのよ！」

「それはいい考えね！彼女が芸能界で火がついたら、どの男も彼女に邪な考えを持つでしょうね？」

「あなたたち何言ってるの？こんな妖怪を私の会社に？」藤田奥様は怒って反論した。

大木嵐はこれ以上聞きたくなく、身を翻して立ち去ろうとした。

突然、背後から呼び声が聞こえた。

「藤原奥様」

大木嵐は振り返り、彼女を呼び止めた斉藤若春を見つめ、目が鋭くなった。

斉藤若春は少しも緊張せず、むしろ立ち上がって藤原奥様に近づいた。

「ここでまた藤原奥様にお会いできるとは思いませんでした」

白沢奥様は困惑して斉藤若春を見て、また大木嵐を見た。「あなたたち知り合い？」

「一度会ったことがあるけど、親しくはないわ」大木嵐は静かに答えた。「斉藤さんはなぜこのパーティーにいるの？」

「私も白沢奥様に招待されて来たんです」

大木嵐は白沢奥様を見た。「あなたは彼女とよく知り合いなの？」