第236章：藤原さまに完全に失望した

「お爺さんは藤原時央に向かって言った。「浅子はまだ検査を受けなければならないが、お前は残るのか、それとも……」

「会社にまだ用事があるから、処理が終わったらまた来る」藤原時央はお爺さんの言葉を遮った。

「わかった」お爺さんはため息をつき、その口調には隠しきれない失望の色があった。「行くがいい、来ようが来まいが構わない、私がここで浅子に付き添っている」

藤原時央と斉藤若春は一緒に立ち去った。

安藤さんが前に進み出て、小声でお爺さんに尋ねた。「お爺さん、なぜ藤原若旦那を引き止めなかったのですか？むしろ彼と斉藤さんを行かせたのは？若奥様は……」安藤さんは病室の方を見て、それ以上は言わなかった。

「彼の心がここにないのなら、私が引き止められるだろうか？」

突然、病室のドアが開き、数人の医療スタッフが入ってきた。

「藤原先生、時田浅子さんが目を覚ましたと聞きましたが、本当ですか？」

「はい、そうです」

数人はすぐに時田浅子のベッドに向かい、彼女にいくつか質問をした後、検査のために彼女を連れて行った。

お爺さんは終始時田浅子に付き添っていた。

すべての検査を終えると、すでに午後6時か7時頃になっていた。

家の家政婦が食べ物を持ってきた。

時田浅子はお爺さんを見て、少し心配になった。

一日中忙しくしていて、お爺さんはきっと疲れ果てているだろう。

「お爺さん、私の状態ならもう入院する必要はないと思うわ。私はもう目を覚ましたし、検査もたくさん受けたから、医者に相談して先に帰りましょうか？」

「せっかく来たんだから、一晩泊まって、すべての検査結果が出て、何も問題がなければ帰ろう。心配するな、お爺さんがここで付き添っているから」お爺さんは逆に時田浅子を慰めた。

結果がすべて出ていない限り、彼の心も落ち着かなかった。

時田浅子はお爺さんに負担をかけたくなかった。

お爺さんはあんなに高齢なのに、まだ病院で彼女を見守っている。彼女の心はどうして安らかでいられようか。

「私一人でここに泊まっても大丈夫だから、お爺さんは後で帰って休んで、明日また来てくれればいいわ」時田浅子は優しく説得した。

「だめだ！」お爺さんは直接拒否した。「私のことは気にせず、早く食べなさい、たくさん食べるんだよ」