藤原時央:……
リビングは静まり返り、数秒後、ようやく藤原時央の声が聞こえた。
「お前は離婚したら、時田浅子が居づらくなると言ったじゃないか?彼女はまだ屋敷に住めるのか?」
「そうだよ、私もそのことは考えていた。だから、明日からはお前はこの屋敷に住む必要はない。自分の住まいに戻りなさい。浅子がお前を見なければ、当然居心地が悪くなることもないだろう」
藤原時央の呼吸が少し荒くなった。
「明日、出張がある。一週間前から予定されていた日程だ。まずは時田浅子を静養させよう」
言い終わると、藤原時央は車椅子を動かして部屋へ向かった。
ドアを開けると、部屋は空っぽで、時田浅子の物は全て消えていた。
彼は再びリビングに戻ると、老人は寝室に戻ろうとしていた。
「時田浅子は今日、一緒に帰ってこなかったのか?」