藤原時央は電話を切り、心の中も混乱していた。
帝都から浜松市へ。
これは彼にとって、兜を脱ぎ捨て、慌てて逃げ出すことになるのだろうか?
彼の心は突然イライラし始め、パソコンを閉じて顔を上げると、鈴木真弦の観察するような視線と目が合った。
鈴木真弦はすぐに頭を下げ、藤原時央と視線を合わせる勇気がなかった。
「今日はここまでにしよう。」
「はい、藤原若旦那、では私は先に部屋に戻ります。おやすみなさい。」鈴木真弦は挨拶をして、退出した。
部屋を出るとすぐに、彼はまるで狂ったように足踏みを始めた。
何かある!藤原若旦那の恋愛事情に絶対何かある!
彼は今、藤原若旦那のために上手くカバーしたのだろうか?!
電話の向こうの女の子は一体誰なんだろう、藤原若旦那の声があんなに優しくなるなんて!