十分もしないうちに、二、三十人の警備員がきちんと二列に並び、一階の外に立ち、物件管理者はさらに熱心に藤原時央の車の側まで走ってきた。
「藤原社長、私たちのこのオフィスビルを見学されませんか?」
「必要ない」藤原時央は冷たく応じた。
彼は携帯を取り出し、時田浅子の番号にダイヤルした。
時田浅子はまだネット上のニュースを見ていたとき、突然携帯が鳴り始めた。
「藤原若旦那」
「下で待っている」
「はい、すぐに行きます」時田浅子はバッグを整理して、階下へ向かった。
エレベーターが開くと、江川楓と眼鏡をかけたスーツ姿の男性の姿が見えた。
「若奥様」江川楓が声をかけた。
「奥様、こんにちは。私は鈴木真弦と申します。藤原社長の秘書です」
時田浅子は鈴木真弦の声を聞いて、「こんにちは、鈴木秘書。そんな風に呼ばないでください。私と藤原若旦那はあなたが思うような関係ではありません。時田浅子と呼んでください」
鈴木真弦:……
彼は慌てて助けを求めるように江川楓を見た。
江川楓は肩をすくめ、どうしようもないという様子だった。
時田浅子が外に向かって歩き出すと、突然外にたくさんの警備員が立っていることに気づいた。
まるで何か貴賓を迎えるかのようだった。
彼女は困惑した表情で外に向かって歩いた。
「時田浅子が出てきた!早く見て!あれが時田浅子だ!」
遠くから、人々が急いでこちらに集まってきた。
しかし、近づく前に、彼女たちは阻止された。
これらの女の子たちは時田浅子を待ち伏せするために集まっていたのだ!
時田浅子がこんな悪質な手段で江川湊とスキャンダルを起こし、さらにオレンジエンターテインメントと結託していることは、江川湊のファンたちが最も見たくない光景だった!
時田浅子は一度に二つの地雷を踏んでしまった。
これらの女の子たちは自分のアイドルがこのような屈辱を受けるのを我慢できず、アイドルを守るためにやってきたのだ!自分の行動でアイドルを守るために!
彼女たちを阻止している人々は一目見て手ごわそうだったので、これらの女の子たちも強く出る勇気はなく、来た時の勇気もほとんど消え失せ、中には退きはじめる人もいた。
「あなたたち、何をするつもりなの?」リーダー格の女の子が前に出て、ボディガードに詰問した。