第267章:彼女は彼のスイーツ

電話の中で、数秒の沈黙があった。

時田浅子は少し後悔していた。

彼女は実際、この電話をかけるべきではなかった。

彼女と藤原時央は明日離婚するのに、自分の母親を喜ばせるためだけに、藤原時央に病院へ付き添ってもらうなんて、なんて自分勝手なのだろう。

時田浅子が口を開こうとした時、電話から藤原時央の声が聞こえた。

「鈴木君、この後、他に仕事はあるかな?」

「藤原社長、この後は特に予定はありません」鈴木真弦は急いで答えた。

藤原時央は再び電話に戻り、「時間があるよ。君はもう終わったのか?」

「私...私も終わりました」

「待っていてくれ、今から迎えに行く」藤原時央はそう言って電話を切った。

鈴木真弦はすぐに前に出て、藤原時央の机の上の書類を整理し始めた。「藤原社長、先ほどの会議でまとめた事項とプロジェクトの進捗報告は、改めて整理してお送りします」