午後は授業がなく、時田浅子は不動産屋と約束して家を見に行く予定だった。
まだ学校を出る前に、柳裕亮から電話がかかってきた。
「先輩、何かご用ですか?」
「時田浅子、今日の午後は授業ある?」柳裕亮が尋ねた。
「ないです。」
「ちょっと会えないかな、撮影について相談したいことがあるんだ。」
「先輩、今日の午後は予定があります。不動産屋と約束してるんです。」
「不動産屋と何の約束?部屋を借りるの?」
「はい。」
「一人で行くの?」
「うん。」
「僕、ちょうど午後空いてるから、一緒に行こうか。女の子一人で部屋を見に行くのは安全じゃないし、ついでに撮影のことも話し合えるし。」
「でも、迷惑じゃないですか?」
「全然。今どこにいる?今から行くよ。」
「これから校門を出るところです。」