午後は授業がなく、時田浅子は不動産屋と約束して家を見に行く予定だった。
まだ学校を出る前に、柳裕亮から電話がかかってきた。
「先輩、何かご用ですか?」
「時田浅子、今日の午後は授業ある?」柳裕亮が尋ねた。
「ないです。」
「ちょっと会えないかな、撮影について相談したいことがあるんだ。」
「先輩、今日の午後は予定があります。不動産屋と約束してるんです。」
「不動産屋と何の約束?部屋を借りるの?」
「はい。」
「一人で行くの?」
「うん。」
「僕、ちょうど午後空いてるから、一緒に行こうか。女の子一人で部屋を見に行くのは安全じゃないし、ついでに撮影のことも話し合えるし。」
「でも、迷惑じゃないですか?」
「全然。今どこにいる?今から行くよ。」
「これから校門を出るところです。」
「10分後に着くよ。」柳裕亮は電話を切った。
時田浅子が学校の門で待っていると、10分もしないうちに柳裕亮が急いでやってきた。
「先輩。」時田浅子は柳裕亮に手を振った。
柳裕亮は時田浅子の前に来ると、小声で尋ねた。「不動産屋とはどこで会う予定?」
「サンシャイン・ガーデンです。」
「ついてきて。」柳裕亮は校門から出ずに、近くの駐車場へ向かった。
駐車場に着くと、柳裕亮はまっすぐある車に向かった。
時田浅子はその夜光ブルーの車を見て少し驚いた。この車、少なくとも400〜500万円はするだろう。
「もうすぐ卒業だから、家族からの卒業プレゼントなんだ。初めて乗り出すよ。」柳裕亮は時田浅子のためにドアを開け、とても紳士的だった。
時田浅子が車に乗り込むと、柳裕亮は車を発進させ、キャンパスを離れた。
少し離れたところで時田浅子を密かに守っていた二人のボディーガードがこの光景を見て、思わず顔を見合わせた。
「若奥様はどこへ行くつもりなんだろう?若奥様が学校を離れたけど、この行動を藤原若旦那に報告した方がいいかな?」
「もちろん報告すべきだ。まずは若奥様がどこへ行くのか見てみよう。」
二人もすぐに後を追った。
サンライト団地に着くと、柳裕亮が車を停め、不動産屋はすでにそこで待っていた。時田浅子を見るとすぐに近づいてきた。
「こんにちは、時田さんですよね?」
「はい、そうです。あなたのお名前は?」