安藤さんは老人の声を聞きながら、思わず笑って首を振った。
「お爺様、藤原若旦那はようやく目覚めたんですから、喜ぶべきではないですか!」
「安藤、お前も知っているだろう、彼はもともと本家に戻りたがらなかったんだ。私が心配しているのは、彼が浅子も連れ去ってしまうことだよ。」
「お爺様、ご安心ください。もしそうなったとしても、若奥様に本家に住んでほしいとお伝えすれば、若奥様はきっとお爺様と一緒に本家に残ってくれますよ。そうなれば、藤原若旦那も若奥様の言うことを聞くでしょう。」
老人はそれを聞いて、すぐに喜んだ。
「そうだな、なぜ私はそれを思いつかなかったんだ!浅子さえ引き留めればいいんだ!」
老人はこれで心配が解消された。
……
三日後、時田浅子は録音の仕事を終え、彼女の母親の状態も特によくなり、ICUから一般病棟に移されていた。