第318章:夫婦揃って家に帰る

車が店を出て、幹線道路に合流した。

これはまだ藤原家の本邸に戻る道ではなかった。

時田浅子は何も言わなかった。もう無駄な抵抗はしたくなかった。

藤原時央の意図は既に明確に表現されていた。彼女が彼の思い通りにさせれば、彼は手を放すと。

「今どこに行くの?」時田浅子は藤原時央に尋ねた。

「家に帰る」藤原時央は簡潔に二文字で答えた。

時田浅子はもう何も言わず、藤原時央の予定に黙って同意した形だった。

藤原時央は時田浅子の方を振り向いて一瞥し、少し驚いた。

彼女は藤原家の本邸に戻ることを主張しなかったのか?

彼の住まいに戻ることに同意したのか?

藤原時央の心の中には、小さな喜びがあった。

「今日は外で食事する気分じゃないから、帰ったら適当に麺でも作って食べよう」藤原時央は探るように言った。