しかし幸いなことに、撮影場所は帝都にあるので、学業にはあまり支障がない。
撮影がない時は、彼女は普通に学校に通うことができる。
時田浅子は大川先生のメッセージに返信し、さらに少し話をしてから、スマホを置いた。
もう11時近くになっているが、藤原時央はまだ書斎から出てこない、きっとまだ忙しいのだろう。
彼女はゆっくりと立ち上がりゲストルームへ向かったが、ドアの前まで来ると気が変わり、主寝室へ向かった。
藤原時央はパソコンの画面に映る映像を見つめ、時田浅子がゲストルームから主寝室へ向かうのを見ると、彼の目に笑みが浮かんだ。
ビデオ会議は30分前に終わっていたが、彼は書斎を離れなかった。
まるで彼がいるだけで時田浅子がリラックスできないかのように、彼はパソコンの前に座り、室内の監視カメラを通して時田浅子を見ていた。
主寝室のドアが閉まり、時田浅子の姿は彼の視界から消えた。
彼はパソコンを閉じ、椅子の背もたれに寄りかかったが、すぐには主寝室に戻らなかった。
時田浅子が主寝室に行ったからといって、彼女が彼を受け入れるとは限らない。彼はむしろ自分が制御できなくなり、彼女を傷つけることをしてしまうのを恐れていた。
突然、彼のスマホの画面が明るくなり、白川健斗からメッセージが届いた。
明日、時間を作って検査を受けるようにとのことだった。
最近、彼の状態は良好に回復している。
白川健斗は藤原時央の返信を見て、スマホを置こうとしたとき、突然また通知音が鳴った。
藤原時央がさらにもう一つメッセージを送ってきたのだ。
白沢陸は音を聞いて顔を覗かせた。「どうして藤原若旦那と同じように、飲みに出てきたらスマホが鳴りっぱなしなんだ」
白川健斗はそのメッセージを開き、内容を見て唾を飲み込みそうになった!
「どうした?どうした?誰からのメッセージか見せてくれ!」白沢陸は急いで白川健斗のスマホを奪った。
白川健斗とチャットしている相手のアイコンは空白で、ニックネームもなかった。
これは藤原若旦那に違いない!
内容を見た白沢陸は、口から酒をスマホの画面に吹き出した!
「性欲を抑える薬はないか?」彼は小学生のように、一字一句その文を読み上げた。
「ゴホゴホ!」彼も息を詰まらせ、ソファに倒れ込んで笑い転げた。