もし、藤原時央が少し協力して、あんなに強引で横暴でなければ、彼女は信じている、今回は乗り越えられると。
時田浅子は一分一秒が過ぎていくのを待ちながら、眠気に襲われていた。
彼女のまぶたが戦い始めたとき、突然ドアが開いた。
藤原時央が外から入ってきた。彼は意識的に足音を軽くしていた。こんな遅い時間だから、時田浅子はきっと眠っているだろう。
彼はベッドの側に来て、時田浅子の前に座った。
時田浅子は目を閉じたまま、藤原時央の行動を待っていた。
藤原時央はただそこに座っているだけで、彼女にとっては耐え難い時間だった。
どうせ、首を出しても一刀、引っ込めても一刀、思い切って覚悟を決めた。
布団の中から、ゆっくりと一本の手が伸び、藤原時央の手首を握った。
彼の表情が一瞬凍りついた。