第323章：藤原さまは決して負けを認めない

白川健斗は数秒間呆然としてから、ゆっくりと言った。「藤原若旦那、この種の薬には効果を打ち消す薬はありません。人体の代謝によって薬効が排出されるのを待つしかなく、その後に機能が正常に戻ります」

「代謝を早める方法はないのか？」藤原時央はさらに尋ねた。

「とりあえず、水をたくさん飲んでみては？」

白川健斗の言葉が終わるか終わらないかのうちに、電話は藤原時央によって切られた。

白沢陸はようやく口を押さえていた手を離し、白川健斗の腕をつかんで「健斗、一体何があったんだ！」

「陸さん、今運転中なんですよ。そんなに興奮しないでください」

白沢陸は慌てて白川健斗の腕を離したが、まだ困惑した表情を浮かべていた。「藤原若旦那はあの薬を飲んだ後、効き目が強すぎて自分でも対処できなくなったのか？」

白川健斗は白沢陸を一瞥し、笑うだけで何も言わなかった。

「何か知ってるだろう？早く教えてくれ！」白沢陸はまた白川健斗の腕を引っ張った。

「陸さん、ちょっとのゴシップのために命を捨てるつもりですか？」

「これは藤原時央のゴシップだぞ！早く話せ！」

「まず手を離してください！」

白沢陸は素直に手を離し、期待に満ちた表情で白川健斗を見つめた。

「浅子さんが藤原若旦那のところにいるんです」白川健斗はゆっくりと言った。

「浅子は藤原家の本邸に住んでいるんじゃないのか？なぜ藤原時央のところにいるんだ？」

「藤原若旦那がどんな方法で彼女を自分のところに連れて行ったのかは分かりません」

「ぷはははは！」白沢陸はトラクターのような笑い声を爆発させた。純粋に他人の不幸を喜ぶ様子だった。

……

藤原時央は電話を切ると、部屋に戻らず、キッチンに向かい、冷蔵庫を開けて水のボトルを取り出し、キャップを開けて口に注いだ。

500ミリリットルの水を、彼は数口で飲み干した。

飲み終わると、また一本取り出して開け、飲もうとしたところ、時田浅子が近づいてくるのに気づいた。

時田浅子はキャミソールのナイトドレスを着ていて、ドレスは彼女の膝までしかなく、細くてまっすぐな両脚が露わになっていた。

藤原時央ののどぼとけが動き、ボトルを持ち上げて水を飲み続けた。

また500ミリリットルを飲み干し、彼はまた冷蔵庫を開けて一本取り出した。