第350章:離婚したら手のひらを返した

最初に目に入ったのは、藤原時央に塗られた口紅の跡だった。

次に目に入ったのは、襟元の掛け違えたボタン!

藤原時央はちゃんと見ながらボタンを留めたはずなのに、どうして間違えるの?

彼はわざとやったんじゃないの?

時田浅子は急いでボタンを外し、正しく留め直してから、鏡の中の自分を見上げ、額を強く叩いた。

「時田浅子、なんてバカなの!藤原時央がメイク直しに行こうって言ったら素直についていくなんて、彼に隙を見せただけじゃなく、このメイク、直す前の方がましだったじゃない!」

時田浅子は腰に手を当てて怒り、自分を平手打ちしたい衝動に駆られた。

……

藤原時央は車の中に座り、ティッシュを取り出して唇の口紅を拭き取った。

鈴木真弦は車の外に立ち、熱心に見守っていた。この二日間、彼の懸命な努力のおかげで、ようやく藤原社長と奥様の間の出来事を理解できたのだ!