「見飽きたか?」藤原時央の声が時田浅子の頭上に響いた。
時田浅子はハッとして、すぐに視線を引き戻した。
藤原時央はネクタイを引き抜き、さらにボタンを一つ緩めた。
時田浅子はこの瞬間、スマホの録画を見るのではなく、彼の動きを直接見つめていた。
「藤原時央、何をするつもり?」
「少し蒸し暑いから、息抜きだ」藤原時央は笑いながら答えた。
時田浅子の視線は落ち着かず、心臓は思わず速く鼓動し始めていた。
彼女の腕もだんだん力が入らなくなり、撮影している画面もどんどん下がっていった。
「浅子、君は一体どこを撮りたいんだ?ん?」藤原時央が彼女に尋ねた。その声は魅惑的で、少し意地悪さも含んでいた。
時田浅子はすぐに腕の痛みを我慢して、再びスマホを持ち上げ、藤原時央の顔に向けて撮影した。
「浅子、僕の資本が今さっき君に暴露されそうになったよ」
時田浅子の顔は一瞬で真っ赤になり、小声で罵った。「変態!」
「誰を罵っているんだ?」藤原時央はまた尋ねた。
「車の中に誰がいるの?もちろんあなたを罵ってるわよ!」
「僕はてっきり、それを罵っているのかと思った」藤原時央は意味ありげに言った。
「あなた...それを罵るのとあなたを罵るのに何の違いがあるの?それはあなたの...ものじゃないの」時田浅子は喉を引き締めて反論した。
「それは君が挑発したものだ、僕には関係ない」
「私が挑発した?私は触れてもいないわ!私...どうやって挑発したっていうの?」時田浅子はほとんど言葉が出なくなった。
「触れてみたいのか?」
「触りたくない!」時田浅子は怒って応じた。
彼女はまだ録画中だった!何というめちゃくちゃなものを録画してしまったのだろう。
藤原時央の笑みはさらに深くなった。
この小さな生き物は、本当に可愛すぎる。
「まだ録画を続けるのか?」藤原時央はもう一度尋ねた。
「録画するわ、もちろん録画するわよ!」時田浅子は強がって答えた。
藤原時央は突然手を伸ばして時田浅子の手首を握り、少し上に持ち上げて、カメラに二人が映るようにした。
彼のこの動作のせいで、二人はほとんど寄り添っていた!
時田浅子は彼の熱い息遣いを全身で感じ、頭が一瞬でぼんやりした。
「持ち上げられないようだから、手伝ってあげる」藤原時央の目は笑いに満ちていた。