第359章：藤原さま、意地悪

時田浅子は彼の耳元に寄り添い、藤原時央は突然手を伸ばして、彼女の細い腰を抱き寄せ、さらに近づけた。

時田浅子は抵抗せず、彼の耳元でゆっくりと言った。「藤原若旦那、誰であろうと、女性の意思に反する行為は三年以上十年以下の刑ですよ。」

藤原時央はその言葉を聞いて、怒りと笑いが込み上げてきた。

この小娘め、勇気可嘉だな、まさか彼を脅すとは。

ちょうどそのとき、時田秋染がドアを開け、この光景を目にして、目に一瞬笑みが浮かんだ。

彼女は二人が何を話しているのか分からなかったが、二人の姿勢はとても親密そうだった。

時央は浅子の腰を抱き、浅子は時央の耳元に寄り添い、何かひそひそ話をしているようだった！

「時央、浅子、来てたのね、早く入って。」

時田浅子は母の声を聞くと、すぐに藤原時央の腕をつかみ、彼を押しのけようとした。

しかし藤原時央はさらに強く抱きしめ、時田秋染の方を向いて、「お母さん」と呼びかけた。

時田浅子：……

彼はまだ呼び方を変えないつもりなの？

「あれは私のお母さんよ！」

「君だってまだおじいさんをおじいさんと呼んでるじゃないか？」

「それとこれとは違うでしょ？」時田浅子は反論した。

「何が違うのよ！」時田秋染が言葉を引き継いだ。「私は時央に『お母さん』と呼ばれるのが大好きなの。あなたじゃなくて彼が呼ぶんだから、あなたがとやかく言うことじゃないでしょ？」

時田浅子は言葉に詰まった。

「時央、ほら、早く入って。」時田秋染は手招きした。

藤原時央は時田浅子の腰を抱き、ほとんど彼女を持ち上げるようにして病室へ向かった。さらに時田浅子を驚かせたのは、彼女の母親がまるで何も見ていないかのように、しかも満面の笑みを浮かべていることだった。これはいったいどういうことなの？！

藤原時央が電話をかけたとき、時田秋染はまったく準備ができておらず、テーブルに並べられた料理はすべてレストランから届けられたものだった。

「さあ、時央、早く座って。」

「お母さん、あなたの傷はまだ完全に治っていないわ、早く座って。」時田浅子は藤原時央の手から逃れ、母親の方へ歩み寄り、母親をソファに座らせた。

「お母さんの傷はほとんど回復したわ。今はベッドから降りて歩き回ることが大事なの。そうすれば早く回復して、早く退院できるわ。」