第352章:殴り合わなかったのは教養があるからだ

「時田さん、藤原社長はこの文化商業通りが彼の資産だということを教えてくれませんでしたか?」鈴木真弦はさらに時田浅子に尋ねた。

時田浅子は一瞬固まった。

柳裕亮の表情は完全に驚きに満ちていた。

この文化商業通りが藤原時央のものだったとは!?

鈴木真弦はさらに言った。「時田さん、ここは藤原社長のものですが、時田さんがお気に入りなら、藤原社長はここを時田さんのものにすることもできると思います。時田さんがここで撮影したいなら、いつ撮影するか、どれだけ長く撮影するかは、藤原社長の一言で決まることではありませんか?」

「鈴木さん、変なこと言わないで。藤原若旦那のものは藤原若旦那のもので、何も私のものになんてなりません!」時田浅子は慌てて反論した。

鈴木真弦はただ微笑んで、何も言わなかった。

場は静まり返り、皆が時田浅子の方を見つめていた。

彼らは数日前にネットで噂を聞いていたが、今や幸運にも現場でその様子を目の当たりにしていた。

時田浅子と藤原時央の関係は、藤原時央がネット上で釈明したような単なる知り合いではないようだ。

二人の関係は、何とも言えない微妙な雰囲気を漂わせているようだった。

鈴木明だけは噂話に興味を示さず、自分の親友の方を見ていた。

裕亮はまだ告白を計画中で、この恋がどのような結末を迎えるのか分からなかった。

「みなさん、おやつでもどうぞ。撮影場所と時間については全く心配いりませんよ」鈴木真弦は率先してミルクティーとケーキを手に取り、柳裕亮の方へ歩み寄った。

「あなたがこの監督なんですね。どうか我々の時田さんをよろしくお願いします」

柳裕亮の表情はやや緊張していた。時田浅子は前に出て鈴木真弦の手からものを受け取った。

彼女も柳裕亮の表情があまり良くないことに気づき、おそらく仕事が中断されたことで気分を害しているのだろうと推測した。

「先輩、もう時間を急ぐ必要はないですし、みんなそんなに緊張しなくてもいいですよ」時田浅子はゆっくりと口を開いた。

「私たちは元の計画通りに進めましょう。時間を無駄にすれば、影絵劇場の公演に影響が出ます」柳裕亮は返答した。

「監督、ご心配なく。数回の公演が遅れても問題ありませんよ」鈴木真弦の声が再び響いた。