時田浅子はビール缶を手に取った。中身はもう空だった。
彼女は隣にあるものを手に取った。六缶全て飲み干していた。思わずゲップが出て、胃が少し膨れ、頭もちょっとクラクラした。
テーブルを支えながら立ち上がり、部屋へ向かった。
ベッドに重々しく倒れ込み、重たい瞼を閉じた。
彼女はすでに少し酔っていて、眠くて疲れていた。
……
藤原時央はまだ外の道路にいた。道路の車は行き来し、絶え間なく流れていた。
鈴木真弦は袋を持って車の前にやってきた。
「藤原社長、食べ物を買ってきました。先ほどご依頼いただいたことについては、すでに調査中です。すぐに情報が入ります。」
鈴木真弦が食べ物を取り出そうとしたが、藤原時央は手を上げて止めた。
「腹は減っていない。」
鈴木真弦はそれ以上出そうとせず、袋を持ったまま車の横に立っていた。
藤原時央は再びあのビルを見つめた。ビル全体の約八割の部屋で明かりがついていたが、時田浅子がどの階のどの部屋にいるのかわからなかった。
彼女は暗闇が一番怖い。一人暮らしなら、きっとすべての隅々まで明るくしているはずだ。
彼女が借りたばかりの部屋だから、きっとまだ何も準備できていないだろう。何か食べたのだろうか?まだお腹を空かせているのではないか。
鈴木真弦は時々藤原時央をこっそり観察していた。
心の中で感慨深く思った。社長は奥様に対して本当に情熱的だ。社長は他の人が言うような薄情な人ではなく、一途な人なのだ。
突然、彼の携帯が鳴り出した。
不動産仲介会社からだった。彼はすぐに電話に出た。
「こんにちは、鈴木さん。やっと調べられました。お問い合わせの物件はサンライト団地9号棟1501号室です。以前、この部屋のオーナーは売却を考えていましたが、価格が合わなかったので、賃貸に出したんです。」
鈴木真弦は藤原時央のすぐ隣に立っていたので、彼の携帯から聞こえる声を藤原時央も聞いていた。
9号棟1501号室。
藤原時央の視線はすぐに15階に固定された。
その階だけ、一つも明かりがついていなかった!
彼の心臓は一瞬締め付けられた!
藤原時央は電話を受け取り、直接尋ねた。「そのオーナーはまだ売りたいと思っていますか?」
電話の声が突然変わった。向こう側の仲介業者も驚いた様子だった。
「売りますよ。価格さえ合えば売ります。」