第375章:致命な皮肉

「ちょうどいいわ、住所を私の携帯に送って、後で江川楓に送るわ」

「電話を切ったらすぐ送るわ」

「わかったわ、他に用事がなければ、お母さんは先に切るわね」

「うんうん」

電話を切ると、時田浅子はクローゼットに服を探しに行った。

クローゼットにはいくつかの服が置いてあり、ちょうど全て藤原時央が買ったものだった。

彼女の頭の中に突然、藤原時央の言葉が浮かんできた。

「知ってるか?私がこのドレスを選んだとき、何を考えていたか?」

「便利さだ」

時田浅子は、これから江川楓が来ることを考えると、バスタオル一枚で人に会うわけにはいかない。

手近な服を一枚取って着替え、リビングに出てすぐに全ての電気をつけた。

約1時間後、江川楓はマンションの外に到着した。

彼は車を停め、藤原時央に向かって歩いていった。「藤原若旦那、若奥様は本当にここに住んでいるんですか?」