第376章:藤原さまは実は自慢魔だった

「奥様、先にお食事をどうぞ。私は江川楓を手伝ってきます」鈴木真弦はそう言うと、振り返って荷物を運びに行った。

時田浅子はテーブルの上の食べ物を見た。本来は空腹ではなかったが、こんなに香ばしい匂いを嗅ぐと、胃がたちまち抗議し始めた。

彼女は座り、箸を取って食べ始めた。

鈴木真弦は時田浅子が食べているのを見て、心の中でほっとした。

これで藤原社長も安心するだろう。

藤原時央はずっと廊下で待っていた。

30分後、江川楓と鈴木真弦がようやく部屋から出てきた。

三人はエレベーターに乗った。

藤原時央は一番後ろに立ち、鈴木真弦と江川楓は目を合わせたが、二人とも声を出す勇気はなかった。

「彼女は食べたか?」藤原時央の声が突然響いた。

「奥様はお召し上がりました」鈴木真弦はすぐに答えた。