第377章:痴漢のような顔

「結構です。」藤原時央は断り、視線は15階の方向を見つめたままだった。

江川楓はそのまま地面にしゃがみ込んだ。

藤原若旦那が一体何をしたのか、若奥様に対するあの態度はあまりにも卑屈だった。

……

時田浅子は少し食べ物を口にし、また少し眠ったので、精神状態も回復し、荷物の整理を始めた。

彼女は今日持ち帰ったものの大半が時央のお母さんが買ってくれたものだと知っていた。

この恩義を、どうやって返せばいいのだろう?

荷物を整理し終えると、時田浅子はバルコニーに出た。夜も更け、少し涼しくなり、そよ風が吹いてきて、とても心地よく感じた。

彼女は頭を上げ、遠くの夜景を眺めた。

藤原時央はバルコニーに現れたシルエットを見た瞬間、目が輝いた。

こんなに長く待って、ようやくこの瞬間を見ることができた。