「わあ!本当?」
「もちろんよ!これは裕亮の処女作なんだから、将来彼が大監督になったら、このドキュメンタリーは誰でも投資できるようなものじゃなくなるわよ!」
鈴木明は言い終わると、時田浅子の方向を見た。「私たちの浅子後輩も、まだデビューしていないわ。これは彼女が撮影する最初の作品でもあるの。将来、彼女が誰もが知る大スターになったら、私たちのこのドキュメンタリーは、きっともっと高い価格で売れるわよ!」
柳裕亮が遠くから歩いてきて、鈴木明の声を聞くと、彼女の言葉を遮った。「このドキュメンタリーは、お金儲けのためではなく、純粋に趣味からだ。スポンサーに同意したのも、より良い制作効果のためだけだ」
「はい、はい」鈴木明は何度もうなずいた。
「儲かるかどうかは別として、私たちの裕亮と浅子のようなコンビは、最高のコンビネーションだよ」
時田浅子は元々ただ聞いているだけだったが、鈴木明がまた柳裕亮と彼女の話題に触れたのを見て、きっとまだ後に続く話があるのだろうと思った。
彼女はなんとなく、鈴木明がいつも彼女と柳裕亮を結びつけようとしているような気がしていた。
鈴木明はそれ以上話を続けず、突然ある方向に歩き出した。
「今日は、皆さんに重要な人物を隆重に紹介します」鈴木明はグレーのスーツを着た40歳くらいの男性を引っ張り出した。
「皆さんに紹介します。こちらが私たちのスポンサーの林課長です。彼自身も非物質文化遺産をとても愛していて、わざわざ私たちの撮影現場に指導に来てくださいました。皆さん、熱烈に歓迎しましょう」
「皆さん、こんにちは」林課長は皆に挨拶した。
「林課長、こんにちは」皆も熱心に応えた。
この林課長は、間違いなく撮影チームの大スポンサーとなった。彼はスポンサーなのだから!
「時田さんと柳監督はカップルの関係ですか?撮影現場でとても息が合っているのを見て、まるで恋愛中の人たちのようだと思いました」林課長が突然口を開き、視線を時田浅子に向けた。
時田浅子は柳裕亮を見たが、彼が説明する意思がないことに気づいた。
「林課長、誤解されています。私と先輩はカップルの関係ではありません」彼女は自ら説明した。
この誤解はこれ以上広がってはいけないと思った。
柳裕亮は時田浅子の説明を聞いて、心がわずかに締め付けられた。