第368章:ドッグフード製造機

藤原時央は頭を下げて一瞥すると、そのカードには確かに時田浅子のサインがあった。

「ペンはある?」彼は小声で湊に尋ねた。

「どうぞ」湊は急いでペンを持ち上げ、藤原時央に渡した。

藤原時央は時田浅子の名前の隣に自分の名前をサインした。

「藤原社長、お手数ですが手形も押していただけますか」

「手形?」藤原時央も少し驚いた様子だった。

「はい、ほら、これが時田浅子さんが口紅で押した指紋です。あなたもここに一つ押してください。そうすればハートの形になって、二人が相思相愛で心が繋がっていることの証明になります」湊は筋の通った説明をした。

「相思相愛で心が繋がっている?」藤原時央の目の奥に笑みが浮かんだ。

突然、彼は時田浅子の方へ歩み寄った。

時田浅子は背後から聞こえる足音に振り返ると、あやうく藤原時央の胸に衝突するところだった。

藤原時央が突然彼女に手を伸ばすと、彼女は警戒して後ろに身を引いた。

「動かないで」藤原時央は片手で彼女の肩を支え、もう片方の手で彼女の唇に触れた。

人前でこのような仕草をするのは、いささか親密さを感じさせるものだった。

藤原時央は親指についた口紅を見て、時田浅子が以前手形を押した場所に押した。二人の手形が美しいハートを形作った。

時田浅子はその光景を見て、呆然としていた。

「これはしっかり保管しておくんだよ。将来、君が大きくなったら、このポストカードを持って私のところに来なさい。一つだけ願いを叶えてあげよう」藤原時央はポストカードを湊の手に渡した。

「ありがとうございます、藤原社長!」湊は興奮した表情でお礼を言った。

「私だけに感謝するの?」

「ありがとう、時田浅子さん!」湊はとても機転が利いて反応も早く、時田浅子を呼ぶときには嬉しそうに目を細めた。

白沢陸は手に持ったティーポットを、怒りで投げつけたくなった。

藤原時央は本当に度が過ぎている。彼が行くところどこでも、イチャイチャしているのを見せつける。

これはまさに完璧な恋愛アピール製造機だ!

「食事の場所は決まった?」藤原時央は白沢陸に尋ねた。

「決まったよ」白沢陸は不機嫌そうに答えた。

藤原時央はずっと彼らの方向を見ていた柳裕亮に声をかけた。「先輩も一緒にどうですか?」

時田浅子は急に緊張した。