第388章:藤原さまは本当に手放したのか?

鈴木真弦は困り果てた顔をしていた。彼だって手ぶらで来たくなかったのだ!

「今日来たのは藤原社長に言われたからじゃなくて、自分で様子を探りに来たんです」

この表現は本当に...的確だ。

「私には分かります、時田さんはこの柳裕亮のことが好きではないようですね」森山緑はゆっくりと言った。

「本当ですか?森山さん、あなたはいつも人を見る目がありますね!信じますよ!」鈴木真弦はすぐに自信を取り戻した。

「でも時田さんは、藤原社長のことも好きではないようですね」森山緑はさらに言い足した。

鈴木真弦は一気に空気の抜けた風船のようになった。

彼は脇に寄って、携帯を取り出し藤原時央に電話をかけた。

藤原時央は着信を見て、鈴木真弦が密かに撮影現場に行ったことを知っていた。また、今日の撮影がすべて終了したことも知っていた。