第385章:策略を尽くす

時田浅子がここまで言うと、老人もそれ以上何も言えなくなった。

「わかった、おじいちゃんは約束するよ。でも、何か困ったことがあったら、必ずおじいちゃんに教えてくれるね?覚えておきなさい、あなたはもう一人じゃない、おじいちゃんがいるんだから。」

「うん!」時田浅子は涙を浮かべながら頷いた。

……

その夜、藤原奥様はあるパーティーに出席した。

豪華な部屋の中央には長テーブルが置かれ、テーブルの上には美しいクリスタルのワイングラスが並んでいた。

華やかに着飾った貴婦人たちがテーブルの前に立ち、あれこれと議論していた。

「このワインに何を味わうことがあるの?私には全部同じ味に感じるわ。」

この一言で、周りの人々から一斉に嘲笑が起こった。

「こんな場所に、どうして彼女が来ているの?」

「誰が招待したのかしら。この帝都の貴族サークルは、本当に猫も杓子も入れるようになったわね。」

人々に嘲笑された女性は、エンターテイメント業界で人気の高い女優だった。

彼女は自分より30歳以上年上の男性と結婚し、一躍セレブ妻になった人物だ。

藤原奥様はその方向を見上げた。

突然、人混みの中に斉藤若春の姿を見つけた。

斉藤若春はすぐに藤原奥様に微笑みかけ、彼女の方へ足早に歩いてきた。

「藤原奥様、こんにちは。」

藤原奥様は冷たい目で斉藤若春を見つめた。

このパーティーに参加している人々は皆、斉藤若春と藤原時央の噂話を聞いていた。今、藤原奥様と斉藤若春が同じ場所にいるのを見て、斉藤若春が藤原奥様と一緒に来たのだと思った。

「斉藤さん、最近私たちが出会う回数が多くなったようね。」藤原奥様は冷たく言った。

藤原奥様の態度がこれほど冷たいにもかかわらず、斉藤若春は少しも恥ずかしがる様子もなく、顔には相変わらず上品な笑みを浮かべていた。

「そうですね、最近は藤原奥様とよくお会いしますね。」

周りの人々は二人の間の雰囲気の不和を感じ取った。

「藤原奥様はいつも笑顔を見せず、誰に対しても厳しく冷たい態度をとるわね。でも、斉藤若春は彼女の将来の息子の嫁かもしれないのに。彼女は斉藤若春が気に入らないみたいね。」と誰かが小声で話した。