「身に着けるもの?」藤原時央は何のことか分からなかった。
「パンツよ!」時田浅子は歯を食いしばって二文字を絞り出した。
藤原時央はその二文字を聞いて顔色が変わった。
車内は沈黙に包まれた。
生まれて初めて、藤原時央は戸惑いを感じ、口を開いたものの、言葉に詰まった。
時田浅子の表情が硬く、まだ怒っているのを見て、彼の心の中では喜びが爆発していた。
あの夜、彼女がこのことで彼を嫌がり、拒絶していたと分かっていれば、自分を酔いつぶすまで飲むこともなかっただろう!
白沢陸のやつに笑い者にされるところだった!
藤原時央は手を伸ばして時田浅子の手を握った。
時田浅子はすぐに手を引っ込めた。彼はもう何も言えないだろう?
藤原時央は時田浅子の表情を見て、彼女の考えていることを理解した。この誤解をこれ以上続けるわけにはいかない。