第434章:藤原さまの地位が少し低いですね

「緑ねえさん、私はしばらく広告や代言を引き受けないほうがいいと思います。今はまだ見せられるような作品がないし、本業をきちんとやらずに広告や代言を受けるなんて、そうしたら私は本当にネット有名人になってしまいます」時田浅子は自分の考えを述べた。

この考えは、森山緑の考えと同じだった。

「いいわ」森山緑は笑顔でうなずいた。

時田浅子はレコーディングスタジオに着くとすぐに録音を始めた。

森山緑はガラス窓越しに時田浅子を見つめ、目には賞賛の表情が満ちていた。

最初、彼女が時田浅子と接触した時、特に考えはなく、ただ面子を立てるために断れなかっただけだった。

彼女は時田浅子と藤原家の関係を知っていて、時田浅子が彼女を断った時、彼女も藤原奥様の顔を傷つけずにこの協力関係を終わらせる方法を考えていた。

この期間の接触を通じて、彼女は時田浅子のことをますます好きになっていることに気づいた。

容姿も能力もあり、重要なのは驕らず焦らず、仕事への情熱が強いこと!仕事となると、まさに働き者だった。

これは彼女が指導してきた女の子たちの中で、最も彼女が感心する一人だった。

……

時田浅子の人気上昇は、斉藤若春を怒り狂わせた。

もし藤原時央がいなければ、時田浅子はとっくに潰されていただろう!今日のような状況にはなれなかった!

今、時田浅子は藤原時央の名義の芸能会社と契約し、そばには森山緑がいる。成功するのは時間の問題だ。

斉藤若春は携帯をめくりながら、こっそり撮った彼女と藤原時央の写真を見ていた。

彼女はゆっくりと目を閉じ、藤原時央の腕の中にいる感覚を思い出した。

たとえほんの数秒でも、忘れられない感覚だった。

藤原時央はかつて彼女との結婚を考えていた。あの抱擁は本来彼女のものだったはずなのに!

彼女の目に一筋の冷酷さが閃いた。

彼女は幼い頃から、自分が欲しいものはすべて手段を選ばずに手に入れなければならないと知っていた!

事態は、まだ終わっていない!

……

藤原時央は仕事を終えると、時田浅子が録音している場所に来た。

森山緑は彼を見るとすぐに立ち上がり、「藤原社長」と言った。

数人のスタッフがテーブルを囲んでお弁当を食べていたが、時田浅子の姿は見えなかった。

「浅子はどこだ?」彼は森山緑に尋ねた。

森山緑はレコーディングルームの方を見た。