第435章:二人の協力が一人の奮闘に変わる

藤原時央は時田浅子を邪魔する勇気がなく、鈴木真弦に電話をかけた。

「真弦、八福亭に行って何か食べ物を注文してきてくれ。あっさりしたものを。」

「はい、藤原社長!」鈴木真弦はきびきびと返事した。

……

時田浅子は一話分の録音を終え、休憩に入った。

彼女のいわゆる休憩とは、口を閉じて、黙々と次の話のセリフを見ることだった。

彼女が夢中になって見ているとき、突然ドアが開いた。

顔を上げると、藤原時央の姿があった。

藤原時央は手を伸ばして彼女の頭からヘッドホンを取り、何も言わずに彼女を録音室から引っ張り出した。

「藤原若旦那……」時田浅子の声は消えた。外の小さなテーブルに食べ物がいっぱい並んでいるのを見たからだ。

小さなテーブル一つでは足りず、重ねて置かれていた。

「食事だ」藤原時央は時田浅子のために椅子を引いた。

「もう食べました」

「お粥一杯で食べたと言えるのか?」

時田浅子がまだ呆然としている間に、百合のスープが彼女の前に置かれた。

「自分で食べないなら、私が食べさせてほしいのか?」

時田浅子は顔を赤らめ、急いで周りを見回した。森山緑はすぐに身を翻してこちらを見ないようにし、他の数人も慌ただしく動き始めた。

藤原時央は彼女がまだ動かないのを見て、手を伸ばしてその百合のスープを取ろうとしたが、時田浅子はすぐにそれを奪い取った。

「自分で食べます!」

彼女はスプーン一杯すくって食べた。とても甘くて爽やかで、喉がとても心地よかった。

「今日はどうしてこんなに早く来たんですか?」

「もう6時近いよ。君は僕より忙しいな」

時田浅子は、藤原時央がわざと彼女をからかっていることを知っていた。

彼女がどんなに忙しくても、あんな大きな企業グループの社長ほど忙しいはずがない。

「今日は昨日よりも遅くなるかもしれません。先に帰りますか?」

「明日は週末じゃないか?授業もないんだから、明日の午前中に録音すればいい」

「明日はおじいちゃんに会いに行きたいんです。前に週末は必ず会いに行くと約束したのに、前回から2週間も経ってしまって」時田浅子は自分の予定を話した。

藤原時央はそれを聞いて、さらに胸が詰まった。

老人までもが時田浅子のスケジュールに入っている。