「私の前で彼女の名前を出すな!」藤原時央は冷たい声で叱りつけた。
白沢陸はソファに身を縮め、口をきつく閉じた。
やはり時田浅子のことだ!
これが愛の力というものか!
藤原時央のこんな一面を見られるなんて、マジで興奮する!
「浅子さん最高!浅子さん、あなたは私の憧れ、私の心の中でキラキラ輝いている!」白沢陸の心の中ではすぐに大きな旗が高々と掲げられた。
……
午後、時田浅子が授業を始めたばかりのとき、病院から電話がかかってきて、急いでタクシーを拾って病院へ向かった。
医師のオフィスに着くと、彼女の母親を担当する医師がすでに彼女を待っていた。
「田中先生、こんにちは」
「時田さん、少しお待ちください」田中先生は資料を印刷しているところだった。
時田浅子は座って待っていると、間もなく田中先生が一束の資料を持って彼女の前にやってきた。
「時田さん、今朝お母様の状態を確認し、本人の意向も考慮した結果、この状態であれば退院できると思います」
「本当ですか?よかった!」時田浅子は少し興奮した。
「以前にもお話ししましたが、これらは私がまとめた資料です。時間があるときによく読んでください。患者さんのケアに役立ちます」
「ありがとうございます、田中先生」時田浅子は両手で受け取った。
「この病気は患者さん自身の意志と家族の方の忍耐が試されます。主に感染と拒絶反応が心配です。患者さんの体質はとても弱く、少しの風邪でも危険です。退院後、何か問題があれば、いつでも私に連絡してください」
「わかりました。それで、いつ退院手続きをすればいいですか?」
「今からでも手続きできますよ」
「では、お邪魔しません。手続きに行ってきます」時田浅子は立ち上がって外に向かい、急いで母親の病室に向かった。
「お母さん!私たち退院できる……」時田浅子の言葉は喉につまった。
彼女は、そこに座っている人影を見た。斉藤若春だった!
斉藤若春は時田浅子を見ると、笑顔で立ち上がった。「時田浅子さん、ちょうど用事があってこの病院に来たの。あなたのお母さんがここに入院していると聞いて、様子を見に来たわ」
時田浅子の表情は少し硬くなった。
斉藤若春と彼女にはどんな交友関係があるというのか、なぜ突然母親を見舞いに来たのだろう?