会場の観客もこの男性のテナーボイスに衝撃を受け、次々とボタンを押し始めた。
わずか十数秒で、通過率は五十パーセントに達した。
「16番の選手、第一関門突破おめでとうございます!ドアを開けてください!」
ドアがゆっくりと開き、中年の男性が現れた。少し太めの体型で、スーツを着こなし、笑顔で皆に手を振った。
「なんてこと、木村丈博じゃないか!」会場の観客が叫んだ。
「番組側が木村丈博を招待できるなんて!すごい面子だ!」
時田浅子も木村丈博の名前を聞いたことがあった。大川先生が何度か彼のことを話していた。
「木村先生、ようこそ」司会者が木村丈博の側に歩み寄り挨拶した。
「司会者さん、こんにちは」
挨拶の後、司会者は簡単なインタビューを行い、それは選手の自己紹介も兼ねていた。