「人は変わりやすいものよ。それに、誰も他人の心を掌握することはできないわ。他人の心を掌握できないなら、自分の心を管理した方がいい。緑ねえさん、私はそんな噂話なんて気にしないわ。人生とは是非の宴ではないの?私が気にしているのは、ある人に依存し始めた時、その人がいつでも私の世界から消えてしまうかもしれないということ。血のつながりさえ頼りにならないのに、ましてやホルモンの爆発で生まれた感情なんて言うまでもないわ。」
「浅子、まだ若いのに、そんな悟りを開いているなんて思わなかったわ。」森山緑の心に共感が湧いた。彼女は時田浅子が何かを経験したからこそ、このような心境になったのだと信じていた。
「あなたは失うことを恐れすぎて、勇気を出して愛することができないのね。」森山緑はさらに言った。
「いいえ、私は愛されることさえ恐れているの。」時田浅子は自嘲気味に笑った。
森山緑は何を言えばいいのか分からなくなった。
「それはさておき、番組制作側のこの件について、どうするつもり?」森山緑は話題を変えた。
「もし番組制作側がこのような態度なら、私はもう撮影を続けるつもりはないわ。今心配しているのは、契約を解除した場合、番組側から契約違反で訴えられないか、そしてどれだけの違約金を支払わなければならないかということよ。」時田浅子は自分の懸念を述べた。
契約書から見ると、番組制作側のやり方は法律に違反していないからだ。
「実は、違約金については心配していないの。私が心配しているのは、あなたのイメージにどれだけの影響を与えるかということよ。」森山緑は考えてから続けた。「次の撮影までまだ時間があるから、その間に私が当時の撮影原映像と、あなたと金恵が衝突した時の監視カメラの映像を入手する方法を考えるわ。」
「手に入れられるの?」
「自信があるわ。私の連絡を待っていて。」
「わかった!」時田浅子はうなずいた。「緑ねえさん、私の夏休みのスケジュールについて心配しないで。適切な仕事があれば全部引き受けてもらって大丈夫よ。」
「わかったわ、安心して!まだ早いし、急いで帰らなくてもいいなら、一杯飲みに行かない?」森山緑は誘った。
「いいわね。」時田浅子はすぐに同意した。「私がおごるわ。」