第477章:この屈辱は我慢できない

大木嵐も怒りを抱えていた。

これは明らかに差別的な扱いだ!

少し考えれば分かることだが、収録の時はきっとこれだけの内容ではなかったはずだ。問題は後編集にあるのかもしれない!

「お爺さん、まず落ち着いてください。私が森山緑に状況を確認してきます」大木嵐は立ち上がって脇へ歩いていった。

森山緑に電話をかけたが、通話中と表示された。

「大木嵐、どうだった?」お爺さんは急いで彼女に尋ねた。

「電話が繋がりませんでした。おそらく森山緑も今、状況を確認しているのでしょう。もう少し待ちましょう」

「それなら浅子に電話してみようか?あの子は番組収録中に何か嫌な思いをしたのかな?私たちに何も言わないなんて」お爺さんは本当に心配していた。

「お父さん、今は浅子に電話しない方がいいと思います。まず私が状況をはっきりさせましょう。もし浅子が本当に番組収録中に何か嫌な思いをして、放送時に明らかに排除されているなら、この件を見過ごすつもりはありません」

「わかった、あなたの言う通りにしよう」お爺さんは言い終わると、ため息をついた。

……

時田浅子は母親を部屋に連れて行って先に寝かせ、自分一人でリビングに座っていた。

彼女もこの件が理解できなかった。

彼女のシーンをすべてカットしたとしても、なぜわざわざ彼女の声まで加工する必要があるのだろう?

テレビで見た映像では、彼女のパフォーマンスは次のラウンドに進むのも難しいほどだった。

携帯を手に取って見ると、森山緑に電話をかけようとした矢先、すでに4、5件の不在着信があることに気づいた。

まず森山緑に電話をかけたが、通話中だった。

おそらく番組スタッフと交渉しているのだろう。

不在着信には、ルームメイトからのものと、大川先生からのものがあった。

みんな番組を見て、彼女に状況を確認しようとしているようだ。

WeChatグループにもたくさんのメッセージが溜まっていた。

ルームメイトの3人は番組スタッフを罵り続けていた。

学科のグループチャットではさまざまな意見が飛び交っていた。

【今日見た人いる?和芸ミスと呼ばれている時田浅子が「天籟の饗宴」に出たけど、あの演技は本当に言葉にならないよ】

【見たよ、落選した人たちの方が彼女より上手だったと思う。彼女がどうやって次のラウンドに進んだのか本当に分からない】