時田浅子はすぐに駆け寄った。「私が時田秋染の家族です。」
「患者の状態についてお話ししておきます。患者は現在体温が少し高く、安全のために入院観察が必要です。」
「はい、わかりました。」時田浅子はすぐに頷いた。
「医師は無菌病室への入院を勧めています。家族の付き添いは必要なく、医療スタッフが患者をしっかり看護します。また、患者の容態が悪化するのを防ぎます。」
「はい、無菌病室で結構です。母に会うことはできますか?」
「これから病室に移動する時に、ガラス越しに一目見ることができるかもしれません。患者は携帯電話を持ち込めますので、電話で連絡を取ってください。」看護師はそう言うと忙しそうに立ち去った。
時田浅子は焦りながらガラス窓の前に立っていた。
3分ほど待つと、数人の医療スタッフが時田秋染を運んできた。
時田秋染はすでに無菌病衣に着替えており、病の苦しみで非常に痩せ衰え、ほとんど皮と骨だけになっていた。手術後にようやく少し元気を取り戻したところだったが、この一件で完全に元の状態に戻ってしまった。
時田秋染の顔色は青白く、点滴と酸素マスクをつけていた。元々弱々しく目を閉じていたが、突然何かを感じたように、ゆっくりと目を開けた。
時田浅子はガラスに張り付き、ベッドの上の母親を見つめていた。
涙が止めどなく溢れ出た。
時田秋染は心を痛めながら娘を見つめ、微笑みを浮かべて時田浅子に手を振り、それから自分の顔を指差した。
時田浅子はすぐに顔の涙を拭き取った。
彼女が泣くと、母はいつもこのジェスチャーをして、優しく「泣き虫さん」と呼んでいたのだ。
時田秋染は時田浅子に微笑みかけ、藤原時央が時田浅子の後ろに立っているのを見て、この瞬間、彼女は心から安心した。
たとえ今、彼女の命が尽きようとも、そんな強い後悔を抱えたまま世を去ることはないだろう。
時田浅子は時田秋染の方向をずっと見つめ続け、見えなくなるまで視線を外さなかった。
しかし、母親が見えなくなると、また涙が止まらなくなった。
藤原時央はティッシュを取り出して彼女の涙を拭いた。
「心配しなくていい。病院にいれば大丈夫だ。」
時田浅子は涙を拭き、深く息を吸った。「母にあんなものをかけた二人はどうなったの?」
30分後、時田浅子は藤原時央に連れられて平屋の建物に到着した。