第503章:金田さんにも味見させてあげて

彼女の隣に座っていた男が手を伸ばして彼女の口を押さえ、少し力を入れると、金恵の顎は外れてしまった。

佐木晴樹はその様子を見て、恐怖のあまり言葉が出なかった。

「車を出せ!」助手席に座っている人物が冷たい声で命じた。

佐木晴樹はすぐに車を始動させた。

「行き先は俺が言う。お前は黙って運転しろ。」

佐木晴樹は緊張して唾を飲み込んだ。相手は只者ではない、彼もそれなりに世間を知っていた。

「兄貴、どこか私たちが知らずに失礼したところがありましたか?もしあるなら、教えていただければ、必ずきちんと謝罪します!何でも言うことを聞きます。」佐木晴樹は運転しながら、機会を見て取り入ろうとした。

「場所に着いたら、お前たちが見せるチャンスはある。」

車はあるバーに入った。

普段、バーは夜だけ営業しているが、今は中の照明がすべて点いていた。

佐木晴樹は中に入ってすぐに後悔した。

彼はソファに座っている見覚えのある姿を見た。

白沢陸はグラスを揺らしながら、恐ろしいほど冷たい表情をしていた。

佐木晴樹は白沢陸を見るなり、足がくだけて地面に倒れた。

金恵も白沢陸の姿を見た。彼女が夢にまで見た誘惑したい男だった!背中を押されて、彼女はすぐに前に数歩走り、ちょうど白沢陸の足元に倒れ込んだ。

彼女はゆっくりと体を起こし、豊かな曲線を見せた。

「三様。」

白沢陸は吐き気を覚えた。「この気持ち悪いものを引きずり出せ!」

二人の影がすぐに金恵を脇に引きずり、ゴミのように地面に投げ捨てた。

白沢陸はゆっくりと立ち上がり、携帯を取り出して佐木晴樹の前に歩み寄った。

「このグループはお前のだな?グループ管理者もお前だな?」

佐木晴樹の気持ちは一瞬にして底に落ちた!

時田浅子が白沢三様と知り合いだったのか?

終わった、これで終わりだ!

「いいえ、違います、三様、私はこのようなグループを知りません。」

白沢陸は冷笑し、携帯を脇に投げた。

「知らないのか、彼に思い出させてやれ!」白沢陸は言い終わると、ソファに座った。

そのとき、時田浅子が隣の衝立の後ろから歩み出てきた。

佐木晴樹は時田浅子を見るなり、目を見開いた。

金恵も恐怖に満ちた表情をしていた。

そして、衝立の後ろには明らかにまだ背の高い立派な体格の人物が座っていた。