「あなたとこんな話はしたくないわ。謝罪しなければ、話し合いなんてできないわ!」森山緑はそう言うと、すぐに電話を切った。
時田浅子がお風呂から出てきたのを見て、ゆっくりと口を開いた。「番組側が折れてきたわ」
「謝罪はしないつもりなの?」
「うん、私たちに後ろ盾がないと思って、簡単に扱えると思ったのよ」
「もう少し様子を見ましょう。金恵は黙っていられないと思うわ」
森山緑はうなずいた。「今は焦っているのは私たちじゃないから、彼らがどう動くか見てみましょう」
「うん」時田浅子はうなずいた。
「浅子、私もお風呂に入ってくるわ。あ、それと出前を頼んだから、届いたら夜食にしましょう」
「夜食まであるの!幸せすぎる!」
「でも、体型を維持するために、今月はもう夜食は絶対ダメよ!」
「了解!」
……
事態は時田浅子の予想通りに進んだ。
金恵はネット上の動きを常にチェックしていた。
「ネットでは、時田浅子にギフトを送った人が、少なくとも500万以上使ったって言われてるわ?!」彼女は片手を伸ばし、信じられないという表情を浮かべた。
彼女の関心は、ずっとそこにあった。
「どうした、妬いているのか?」佐木晴樹は問い返した。
「妬かないわけないでしょ!私のギャラはいくらなのよ?時田浅子はそんなに簡単にあんなに稼いでるのよ!誰だって妬むわ!」金恵は反論した。
「さっき長谷監督から連絡があったんだ。番組側は時田浅子と円満に解決したいらしい。彼は私たちに解決策を見つけてほしいと言っている」
「こんな少しの世論が時田浅子に味方しただけで、番組側はもう怖気づいたの?」金恵は皮肉っぽく言った。「もし時田浅子がこんなに簡単に降板したら、私はどうやって斉藤社長の前で好感度を上げればいいの?これは私の将来に関わることよ!長谷監督が言わなくても、私たちは何とかしないと」
「どうしたいんだ?」
「世論操作よ、あなたが一番得意なことでしょ」
佐木晴樹は冷笑した。「待っていろ、今回は時田浅子に思い知らせてやる、熱狂的ファンの力をね!」
……
翌朝5時過ぎ。
金恵のアカウントから、少し疲れた様子の自撮り写真が投稿された。
写真では、彼女は自分のアパートのバルコニーで朝焼けを見ており、すっぴんで透明感のある表情をしていた。