第511章:藤原さまも不安になる

「もし、今彼女に選ばせたら、彼女は私のそばに残るか、それとも宮本凪の腕の中に飛び込むか?」藤原時央の声がまた響いた。

江川楓:……

「藤原若旦那、あなたはこの世に『もし』はないとおっしゃったではありませんか?すべての仮定的な問題は存在しないと!」

つまり、藤原若旦那は不安になっているのか?!

藤原時央は返事をしなかった。

江川楓はどうすればいいかわからず、とりあえず車を駐車スペースに停めた。

外では雨がザーザーと降り続け、窓ガラスに打ち付けて視界を曇らせていた。

……

時田浅子が宮本凪と部屋に入ったとたん、宮本凪の携帯が鳴り始めた。

彼は一目見て、携帯の電源を切った。

「先にシャワーを浴びてきて、私は何か食べ物を注文するよ。まだ何も食べてないんだ」宮本凪は時田浅子に言った。彼は時田浅子もまだ食事をしていないだろうと思った。

「わかった」時田浅子はうなずいた。

時田浅子がバスルームに入ると、宮本凪はようやくそのメッセージを開いた。

【宮本凪、彼女はもうあなたのそばにいるのだから、しっかりチャンスを掴みなさい】

このメッセージを送ったのは明らかに斉藤若春だった。

宮本凪は一目見るとすぐにそのメッセージを削除し、携帯のモバイルデータをオフにして、ベッドサイドの電話で食事を注文した。

「カニ味噌ヌードルを2つお願いします。カニ味噌を追加できますか?」

「はい、お客様。他に何かご入用でしょうか?」

「イタリアンパイ、チョコレートムース、全粒粉のフルーツタルト、ローズケーキ、アイスクリームボールもお願いします」

「お客様、デザートがかなり多いようですが、どれかを他のものに変更されますか?」

「必要ありません。注文通りに部屋まで持ってきてください」

「かしこまりました。少々お待ちください、すぐに手配いたします」

宮本凪は電話を置き、バスルームの方向を見つめた。

今回こそ、浅子を取り戻せる自信があった!

時田浅子はシャワーを浴び終えてバスルームから出てきた。

彼女は宮本凪が先ほど買ってきた服を着ていた。シンプルな七分丈のジーンズに、上は緑の小花柄の半袖で、背中には大きなリボンがついていた。

この服装は彼女に似合い、まるで隣に住む妹のように清楚で可愛らしかった。

宮本凪は時田浅子をうっとりと見つめていた。