時田浅子の顔に一筋の失望が走った。
彼女はてっきり、あの薬が手に入ると思っていたのに。
「宮本さん、あなたは研究チームの一員じゃないの?」時田浅子は宮本凪の腕をつかみ、心の中でまだ一縷の望みを抱いていた。
「浅子、薬は他のものとは違って、非常に厳しく管理されているんだ。前回会った後、君が母親を海外に連れて行って治療することを望まなかったから、僕は国外に行ったんだ。僕が国外に行った目的は、この薬の市場投入を早めるためだった。今日君を訪ねてきたのは、この薬が市場に出ただけでなく、国内でも導入できるようになったことを伝えたかったからだ。」
時田浅子の心に喜びが湧き上がり、急いで尋ねた。「どうやって導入するの?もう話がついたの?」
「焦らないで、ゆっくり説明させて。この件は簡単には説明できないけど、もし進展が早ければ、一ヶ月もしないうちに君のお母さんが入院している病院で試験的に使用できるようになるよ。」宮本凪は時田浅子に安心感を与えた。